« 100万トンのバラバラ [PSP] | メイン | 不思議のダンジョン 風来のシレン4 神の眼と悪魔のヘソ[DS] »

2010年06月06日

 ■ RPGツクールDS[DS]

タイトル:RPGツクールDS
メーカー:エンターブレイン
ジャンル:コンストラクション
発売日:2010年3月11日
ハード:DS
現在までのプレイ時間:約28時間

 今日は、今まで溜め込んでたゲーム感想を3本いっぺんに書きますよ。一番文句を言いたいあの「超大作」は最後に回すとして、まずはコンテスト応募期間が終わって一段落ついた「RPGツクールDS」です。

 なるべくゲーム感想はクリアしてから書く、という方針でやっているのですが(序盤だけやって投げたゲームに感想書いても、ただ感情的になるだけのよーな気がしまして……)、その意味では今回はルール違反になります。
 クリアしてません! つまりこの種のゲームに対してクリアというのは「RPGを1本完成させる」ことだと思うのですが、結局、完成にこぎ着けませんでした。そんな程度の遊び方で書く感想ですので、その程度のもんだと思ってお読みください。

●ゲームシステム
 「RPGツクール」シリーズは、主人公、アイテム、モンスター、マップ、シナリオ、etc……の要素を自ら設定し、オリジナルRPGを製作するツールです。
 その最新のDS版として登場したのが、このRPGツクールDS。
 システム面での特徴としては、

◆タッチペンを用いた文字入力
◆wifi・赤外線通信を利用したゲームデータの送信
◆wifi通信によるコンテスト開催

 などが新機能として挙げられます。いずれもDSの特性を利用したもので、この点ではなかなか良い構成になっていると思われます。

●タッチペンを用いた文字入力
 従来のコンシューマ版ツクールでは、主人公たちの会話文なんかは、すべてコントローラーでペチペチと入力しておりました。それがタッチパネル操作になっただけで、文章入力のスピードが格段に向上しています。まあ、PC版ツクールのキーボード入力には遥かに劣るのですが……その点をさっ引いても、この改善は多いに評価できます。
 問題点といえば、漢字変換のために搭載されたATOKが、なぜか妙にアホというあたりでしょうか。辞書に載ってる普通の熟語すらも変換できず、頻繁に単漢字変換を多用することになります。なんかワープロ時代を思い出しますな。あと、辞書の学習機能がないのも、いかがなものかと。いや、電源入れてる間は学習してくれるのですが、セーブして電源入れ直すと辞書リセットされるので……

●wifi・赤外線通信を利用したゲームデータの送信
 これが今回の目玉と言えましょう。携帯機最大の特徴である手軽な通信機能を利用した、ゲームデータの送信! すばらしい!
 ただ、いくつか制限もありまして、
1:wifi経由でゲームデータを送るには、フレンド登録が必要
2:DSダウンロードプレイに対応しているので、「RPGツクールDS」がささってないDSにもゲームを送ることが出来る(赤外線通信限定、相手DSの電源を落とすとゲームが消える、「DPサイズ」という仕様で作られたゲームしか送れない)
 てな仕様になっております。
 やはりこれも、PC版のように自由自在に配信することはできませんが、従来のコンシューマ版との比較で見れば画期的な進歩。素晴らしいと思います。

●wifi通信によるコンテスト開催
 で、例によってツクール発売に合わせてコンテストが開催されました。
 今回はなかなか面白い形式になっておりまして、作品をwifi経由でサイトにアップすると、プレイヤーがそれを自由にダウンロードして遊べるようになり、さらに遊んだ人が作品に評価点を付けることが出来ます。最終的にはこの評価点を基準に受賞作が選ばれるようです。
 応募作を自由に遊べるという点もまた画期的。(といいつつ、俺はまだ1本しか遊んでみてないんですが……)
 ただ、発売が3/11で、応募期間が4/5~5/31というのはあまりにタイトなスケジュール! 色々頑張ってみましたが、やっぱアウトでした!! 間に合いませんでした!!

●ナイスなサンプル素材
 さらに、ツクールDSに収録されているサンプル素材(グラフィック、音楽など)はいずれもかなり良い感じです。キャラ絵はかわいいし、音楽はかっこいいし、特にリアルタイプのモンスターグラフィックは素晴らしい。怖いヤツは怖く、えろいヤツはえろく、素材数は決して多くはありませんが、一点ごとのクオリティはバリエーションの少なさを補って余りあると思います。(どーせ、全部の素材を使い切るほどの大作にはならないしね)
 ああ、PC版ツクール用に、素材集でも売ってくれないかなあ……限定版についてたデータCDに音楽だけは入ってたんですが……モンスターグラフィックが欲しいヨー。


 ……さて。
 褒めるべきところはこれで褒め尽くしましたので、こっからは文句になります。

●大量のバグ
 バグの量がハンパではありません。例を挙げれば、

・戦闘中に逃げた敵は、グラフィックが消えるだけでその場に存在している扱いになる。攻撃対象にはできなくなるが、全体魔法で攻撃すると、逃げたはずの敵が表示されてダメージが入ったりする。
・回復アイテムを使うとき、FFのようにボタン連打で連続して使うことが出来る。このとき、個数が0になっても、決定ボタンを押せばもう一回使えてしまう。その後フリーズする。(このバグを回避するエディットテクニックは発見されている)
・「移動中のみ使える」と設定したアイテムは、戦闘中でも使える。
・DQのルーラにあたる「テレポート」タイプの魔法は、消費MPを設定できるが、使ってもMPを消費しない。
・「はい/いいえ」の選択肢を表示するコマンドについて、重大なバグがある。イベントの組み方次第では、「はい」を選んだ場合、「はい」のイベントが終わった後、「いいえ」の方のイベントが引き続き実行される。(これも、バグを回避するテクニックが判明している)

 その他、ゲームプレイ中のバグや、特定の操作をするとゲーム作成中にフリーズを起こすような重大なバグは、枚挙にいとまなし。(当然制作中にフリーズしたら、セーブしてない部分は水の泡です)
 ゲーム製作に関するバグは、ツクールをいじったことのある人にしか伝わらないと思いますので、ここではあまり言及せずにおきますが……上のよりもっと酷いバグがいくつもあります。説明できないので割愛しただけです。

 上の例の中に「バグを回避するテクニックが判明している」というのがありますが、「ならいいじゃん」という考え方もあるかと思います。でも俺はこう思います。

 なんでンなとこにばっか気を遣いながらゲーム作らにゃならんのじゃああああああ!!

 日々あらたに発見されるバグの表とにらめっこしながらゲームを作るのには、もう疲れたよー。

●少ないゲーム容量
 先程、ツクールDSを持っていない相手にゲームを送るには、「DPサイズ」という仕様でゲームを作る必要がある、と書きました。実は、コンテストに応募するにも、これと同じ仕様で作る必要があります。

「DPサイズ」というのは、簡単に言えば「グラフィック・音楽などの素材をセーブデータの中に含めて保存する」という方式です。
 相手がRPGツクールのソフトを持っていれば、その中にグラフィックなどは全て入っているわけですから、「マップ構成・シナリオ・パラメータ設定」のデータだけを送ればよいことになります。が、そうでない場合、当然ながらグラフィックも音楽も全て送らなければ遊べないわけです。

 このグラフィックや音楽の容量がとてつもなく大きい。(あたりまえっちゃあたりまえですが……)
 ソフト内の数値でいうと、ゲーム容量の数値が全部で100万(単位不明)ほどあります。イベントを一つ(つまり、街の人を1人)作るのに、だいたい100~1000程度の容量が必要と思ってください。これなら、街の人を1000人以上は作れる計算になり、使い切るのはちょっと大変です。
 が、ここにグラフィック素材や音楽の容量が加わります。たとえば、

街や洞窟などのマップグラフィック:1種類につき15万~30万(洞窟~街)
街に置く建物:1軒につき1000~5万(平屋建て~豪邸)
モンスターグラフィック:1体につき2000~3万(小型~大型)
音楽:1曲につき5万~20万。平均して15万程度。
効果音:1つにつき1000~20000(「ピッ」~「ズドォォォーン!!」)
キャラクターグラフィック:1人につき3000。

 街を1つつくり、建物を配置して、そこに街用の音楽を加えたら、それだけで全100万の容量のうち50万ほどが消えることになります。
 さらにダンジョンになる洞窟をつくり(15万)、戦闘曲を1つ用意し(20万)、ザコ敵3種類(3000×3)、ボス敵1種類(2万)、パーティメンバーを4人(3000×4)つくると、この時点で90万程度。残りは10万弱。
 ここからイベントを作り始めますが、街の人を1人つくるためにもキャラクターグラフィックが1つ必要なことを忘れてはいけません。作れるのは街の人30人分くらいです。
 当然、メインシナリオになるような主人公同士のかけあいとかをつくると、1シーンにつき数万必要になることもあります。シーン1つで街の人10人が消える計算です。

 こんな具合ですから、イベント容量はモンスターのバリエーションを増やそうと思うと、「街はなしでダンジョンのみ」「音楽は容量の少ない環境音(グゴゴゴゴ……)」「敵グラフィックは色変え(色変え4色は1体分の容量でいけます)」「街の人もみんな色変え」「戦闘時に攻撃エフェクトなどは使わない」「配置するオブジェクトは宝箱だけ(物を1つ置くと、またグラフィック容量を取られる)」という感じに自然となっていきます。

 ファミコン時代のカツカツの容量でゲーム作ってた気分って、こんな感じなんでしょうか。ある意味貴重な体験でした。

 しかし、PC版の自由さ、容量の豊富さを知っている身としては、「どーせ作るなら、こんなカツカツじゃなくPC版の方で……」と思ってしまいました。これも軟弱ということなのか……


●総評
 いくつかの画期的な仕様については、文句なく評価できます。ただ、それを全て無にして余りあるほどのバグの嵐。自由度の低さ、容量の少なさは、コンシューマ版の宿命としてある程度受け入れるにしても、RPGツクールアドバンスより悪くなっているのはいかがなものか。総じて、「わざわざコレを使ってRPGを作る意味があるのか?」と思わされる作品でした。
 どうしてもDSでRPGを作りたい、というなら止めませんが、あまりオススメはしません。どうせならPC版の「RPGツクール2000」や「RPGツクールVX」をオススメします。

投稿者 darkcrow : 2010年06月06日 14:14

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.dark-crow.com/cgi/mt/mt-tb.cgi/249

コメント

私、まだ買ってないんですけど、
凄く役に立ちました。
FULLでの計算法も
どんなもんか気になります。

投稿者 ノヴァ : 2010年08月31日 14:01

FULLサイズの場合、上記の素材分の容量が引かれなくなります。(送り先がRPGツクールDS所持者であることが前提であり、つまり素材を送る必要がないためです)
結果として、DPサイズに比べて数倍以上の容量が使えると考えてよいとおもいます。

具体例を挙げてもかえって分かりにくいかと思いますので割愛しますが、おおまかなイメージでいえば、プレイ時間5~10時間程度の中編RPGなら作れるのではないでしょうか。もちろん、作り方次第でボリュームは大きく変化してしまいますから、目安でしかありませんが。

いずれにせよ、オススメできるツールではない、ということは改めて申し上げておきます。PCをお持ちなら、PC版のほうが「作りやすい&容量実質無限&作品を公開しやすい」と多くの点において上回っておりますから、そちらをオススメしますよ。

投稿者 闇鴉慎 : 2010年09月01日 01:37

コメントしてください




保存しますか?