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2009年12月11日

 ■ 3Dドットヒーローズ[PS3]

タイトル:3Dドットヒーローズ
メーカー:フロムソフトウェア(販売) シリコンスタジオ(製作)
ジャンル:冒険RPG
発売日:2009年11月5日
ハード:PS3
一周クリアまでのプレイ時間:約17.5時間


 ゲーム感想第5弾にして、はじめてPSP以外のソフトがやってまいりました。最近つくづく、携帯機の手軽さがありがたいです。
 ファミ通の記事で初めて見たときから、「一体何がやりたいんだろう……」って感想を抱いておりましたが、我らがフロムなら買うしかない。というわけで、「3Dドットヒーローズ」です。

 さて、このゲームはゼルダ風の見下ろし型謎解きアクションRPGです。それに加えて、発売前の宣伝段階から次のようなウリが前面に押し出されていました。

(1) 昔懐かしいドット絵の世界を3Dで表現
(2) ゲーム内には懐かしのレトロゲーのパロディがちりばめられている
(3) 剣を強化することで画面を覆い尽くすほどの大きさにできる

 これらの点について、順に感想を述べていきたいと思います。


●ゼルダ風のシステムについて
 たぶんこれも「(2)レトロゲーネタ」の一環なんだろうと思いますが、びっくりするほどゼルダの伝説です。(初代と神々のトライフォースまぜこぜ)
 アイテムは弓矢、爆弾、ブーメラン、ワイヤーフック、炎のロッド、そして各種魔法。「持ちあげる」「投げる」「ひっぱる」などのアクションはありませんが、回転切りとダッシュはあります。
 なにもそこまで、と思うほど忠実なコピーでした。ダンジョン内の仕掛けも、どっかでみたようなのがほとんどでした。

 さすがに、ここまであからさまなものを「パクリだ!」なんて騒ぐつもりはありませんが、これをただの「パロディ」で片付けてしまうのもどうか? という気がします。
 制作者本人たちがパロディのつもりで作っているのは明らかだろうと思います。が、ここまでそっくりに作る以上、少なくとも仕掛けの出来を本家と比較されることにはなるということを、果たして意識していたのでしょうか。
 で、本家ゼルダとの質的比較で見た場合、俺が抱いた感想は「とてもゼルダには及ばない」です。
 というか、こっちは昔、神トラあたりをアホほど遊び倒したくちですので、今さら似たようなものを作られて「ほら懐かしいでしょ」と言われても、「いやもう飽きるほどやったから」としか思えないのです。
 せめてダンジョンの仕掛けか何かに、目を見張るような新しい要素があれば、とは思ったのですが……


●「(1)3Dドット絵」について
 このゲームのキャラクターは、縦16マス、横16マス、高さ16マスのドット絵で表現されています。
 ……まあ、画像で見たことのない人は何を言ってるのか分からないと思いますが……!
 色の付いた立方体を積み木かレゴブロックのように積み重ねて、ドット絵をそのまま立体化させたふうのキャラクターを作っているわけです。(余計分からない気もする……)

 一体何がやりたいのかさっぱり分かりませんが、とにかくなんだか訳が分からなくて興味が湧くのは確か。実際動かしてみても、とりあえず初見のインパクトはありました。「なんだこれ。」って感じです。
 そういう意味では目的は果たされているのかもしれませんが、その先が欲しかったと思います。

 このゲームにはプレイヤーキャラクターの3Dドット絵を自分で作成できるエディットモードがあって、ネット上では有志がまた凝ったのを色々作っております。そういうのを見て、「おーすげーなー」という楽しみは確かにありました。でも、自分で作りたくなるほどかというと、うーん。
 で、そのオマケ要素のエディットモード以外に、この3Dドット絵が何をもたらしたかというと……別に、何もないのです。

 わざわざドット絵のままで3Dにしたのなら、それを利用した新たなゲーム性があるべきではないのか? 具体的にどうしろというんだ、と問われたら特に何も思いつきませんが……逆に言うと、そこが思いつかず、アイディアを単なる見た目の違いにしか落とし込めなかった時点で、このゲームの失敗は確定していたようなものではないでしょうか。


●「(2)レトロゲーのパロディ」について
 このゲームをやっていて一番感じたのが、「パロディって何だろう?」という疑問。

 ゲーム中で、住民との会話や看板、単なる説明分に至るまで、「どこかで見たような」テキストが無数に登場します。「ナンデモコウテクレヤ」「*いえのなかにいる*」「幼なじみと良家のお嬢さまのふたりから結婚をもうしこまれて迷っています」「念願のアイスキャンディーをてにいれたぞ!」「ほう、けいけんがいきたな」……
 で、そのほとんどが、特に脈絡無く、話しかけるといきなり出てきます。
 元ネタが分かる物はまだいいのですが、さすがに色々なゲームのネタが出てきているようで、全く元ネタが分からない物も多数ありました。そんなとき、プレイヤーを襲うとてつもない置いてけぼり感。
 パロディってこういうものなのか? 単にどこかで聞いたような台詞をキャラクターに言わせるだけで、お手軽に成立するようなものなのだろうか?

 色々思うところはありますが、とりあえずこれは、パロディなどではない。オマージュでもない。
 これは、単なるオタクの悪ふざけです。

 まあ、要するに……ラスボスに「ウボァー」とか言われても、「……だからなに?」としか思えないということなのです。

 制作者と趣味や知識がほとんど重なっていて、一緒になって悪ふざけができるなら、きっと楽しめるのでしょう。でも、たぶんオタク層に限ってみても、楽しめない人間のほうが遥かに多いんじゃないかと思います。守備範囲は狭く深く、というのがオタク知識の基本ですからね。


●「(3)巨大剣」について
 強化によって画面を覆い尽くすほど巨大化する剣、というアイディアは、Flashゲーム「太くて長いオレの○○」のものです。制作者の許可を取って利用しているようです。
 で、これがまた、本当に巨大になります。ダンジョンの部屋の中くらいなら、回転切り一発で部屋の中の全員を斬れるくらいになります。まあ、そのくらいしないようではウリにはならないと思うんですが……
 問題は、それで面白いのかどうか、というところ。

 基本システムがゼルダであるところに、画面全体を薙ぎ払うほど強力な剣。案の定、サブウェポンの弓や魔法はほとんど使うことがありませんでした。比較的よく使用したのは、「爆弾」と、「一定時間敵の魔法を反射できるようになる魔法」。
 なぜその二つかというと、その二つでしか倒せない敵がいるからです。(爆弾の方は、頑張れば剣でもいけますが、ちょっと現実的でない)

 強すぎる通常攻撃。それでも無理矢理サブウェポンを使わせるために、それしか効かないザコ敵を頻繁に登場させる。
 面白いわけがない。


●総評
 根本となるゲームシステム、グラフィック、テキスト、音楽、全てにおいて「なんだこれ。」と思わせるネタを仕込みまくった作品でした。が、それらのネタを、ただのネタだけで終わらせてしまった。そこから新たなゲーム性を作ろう、という努力を怠った。それがために、凡作以下の存在になってしまった、と言えるでしょう。
 上でも述べた通り、制作者と一緒になって悪ふざけができる人には楽しめるかもしれません。あまりオススメはしません。
 最後は、ゲーム中に登場したネタ発言の一部を改変したものでしめておきます。

「このゲームがつまらないのは かくていてきにあきらか」

投稿者 darkcrow : 2009年12月11日 20:43

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