第九話「中央回廊」


対重兵器用無人迎撃機、無限軌道砲台マスタング。
高出力プラズマキャノン、超伝導レールガン、対戦車用貫通砲、グレネードキャノン……大口径の各種砲を装備可能な無人移動砲台。固定砲台にキャタピラによる若干の機動性を与えたに過ぎないが、その火力は並みならない。移動速度310qと機体の質量を合わせた運動エネルギーに、空気抵抗を減らす為の前屈みの体勢でその砲撃を喰らえばアーマード・コアといえど木っ端微塵に吹き飛ばされる。強力な火力で対象を包み込むグレネードキャノンの爆円は、おそらく周辺の建物を吹き飛ばし、アイザック・シティ中央都市にも被害が及ぶはずなのだが……。
つまりそれは自分たちがアイザックシティの警備にとってそれ程のレベルにまで見なされたということだ。
空にはビルがひしめき、せめぎ合いながら闇を覆い尽くす。所々に盛んな経済活動を反映するどぎついネオンの明かりが見せかけの虚勢を主張する。
ここがクロームの誇る都市、世界の要なのだと。
信号や標識、横断歩道の数と共に放置された民間車が増してきたように思われた。中央都市の周囲部のほとんどは産業ブロックで、そこから中心に向かうほど人口密度が高くなっているという『逆ドーナツ型』の人口分布の中、今まさにウィル達は、産業と居住が入り交じる程度の位置に達していた。
その最中で、鏑笛にも似たサイレンが胸を振るわせ、AC達に百倍もの戦力が追い立てている。
セントラルアイザックの主要通路である黄昏色の中央回廊を外れ、ウィル達は今まさに13ストリートに入ったのだ。この支道はアーマードコアが走るには少し窮屈な広さである。追い続ける四足の蟹に光と物質の空を舞う燕たち、その先には鈍重で強力な攻守砲台が配備される。このほかに三体のACが入り込める道はなく、ただ真っ直ぐに待ちかまえる防衛戦線へと吸い込まれていくのだった。
機体のメンタルバランス画面には『ジェネレーター危険度イエロー、炉心温度2156K』であると表示されているだけだ。これがどれ程の状態であるかは説明するまでもない。
音速まであと20qまで迫り、経験のないウィルにはどうしたらいいか分からなかった。
「カワサキさん!!」
『何だ?』
「……聞こえましたよね?前方に砲台がいます……速度を落として引き返しましょう」
間違えなくこのままでは防衛線を突破することは出来ない。今の自分にはこの程度のことしか考えられないが、これが一番の策に思えた。
『それは無理だ、後ろを見ろ』
カワサキが答える。実に面倒臭そうに、慣れた言葉を放った。バックモニターには距離がありすぎて確認は出来ないが、巨大に連なる飴色の塊が映し出されていた。全ての個が集合して一つの全となり、たった一つの目標に向かって突き進んでいる。いつの間にここまで数が増えたのだろうか?ガードメカは間違いなく50機以上はいるように見える。隙間無く並んだ四足無人機が中央回廊の方から増強されて襲いかかっているのだ。支道である狭い通路で速度を落とせば、ACの機動力を生かすことなくたちまちの内に集中砲火を浴びてしまう事は目に見えていた。
『お前の考えは最も一般的で最も愚かな考えだ』
『引き下げれば危険が退くと思って戦場で死んだ奴は数知れない。恐怖に駆られて逃げるのと危険を回避するする事とはまるで違う――――状況に応じて行動を選ばねば死に犬同然だ』
『突き進む進路に強力な戦力を配置する。奴らの戦略は理に適っている――そう、だがただそれだけだ。前方の砲台の向こうにはさしたる戦力を置いていないはずだ、奴ら無人機如きにはそれだけの頭はない。俺たちが止まるか突っ込んで餌食になるとしか考えられんのだ』
『いいか、速度は落とさずこのままだ。後ろのしつこい奴らを振りきり、前方の防衛網を突破する』
「ですが、これこそ思う壺じゃないですか。このまま行ったら間違いなくマスタングと鉢合わせます。
どうすれば――どうすればいいんですか、カワサキさん!?」
青年は判断をベテランたるカワサキに仰いだ。少なくとも、自分が一緒に戦った今まで一度も彼の指示に間違った所など無かったからである。カワサキの造り出した沈黙が一瞬訪れ、心臓の高鳴りが聞こえた。危機的な状況だというのに、こんなにも生き生きと、まるで楽しんでいるかのように波打ち続ける筋肉が無情なものに感じた。
『この13ストリートもそう狭い通路ではない。アーマードコア三体が同時に入れる道はないが、かなり多くの分岐があるはずだ……この際仕方がない――散開するぞ。ラズーヒン、コースを決めてくれ』
カワサキの命令が下った。個別に別れるという決断、この広い区域の勢力を各個で振り切り、生き延びねばならないということ。パイロット一人一人の実力が問われる行動であり、正にリタイア無しの命を懸けたカー・レースに他ならない。どうであれ、ウィルが一番危険であることは皆が承知していた。だが、他によい方法が見あたらないのだ。まず誰もが自らの戦力の維持と任務の遂行が問われる。場所を選ばず、波状的に活動を行う違法的な戦力のテロリストに求められているのは、ガードのような蛮勇に満ちた死ではなく、知略に満ちた生存であると言える。そもそもテロリストに志願する者など、落ち崩れのガードやレイヴンなどの限られた人種で、戦力が不足している故にその事は然るべき考え方であった。回転する高周音と同調して少しづつ、鋼鉄が音速の壁へと忍び寄る。
レーダー円面に待ちかまえる砲台の影と、右のマップに弾き出された進路が映し出された。
『敵勢力の射程距離まで後2232メートル。相対速度から弾丸が到達するまで約8秒。それまでに音速に到達してそれぞれにコースに入ってください。カワサキは右側の16ブロック方面、ウィルは左のグリーンドルフィン・ストリ−トから自分で判断してコースを取ってください。ジェームスは………』
『――俺は正面ということだな』
察したジェームスが答える。
陽炎はあろう事か弾丸がやってくる方向に対して正面から突っ込むつもりなのだ。
「ジェームスさん……」
『大丈夫だ、陽炎の空中性能で砲台を惹き付けて上空のビルづたいに進行する。俺はまだ死のうとは思わないよ』
――大丈夫だ――。ジェームスの声は優しかった、そう、普段通りに。
如何なる場合でも彼は青年に対して穏和な態度をとってくれた。この戦いに限らず、ジェームスの優しさが、その声がウィルを包み込み、不安と緊張を解きほぐしてくれる。ジェームスにとっては自分など弟の代わりなのかも知れない、彼は自分ではなく自分の中にいるトーマスの影にこの声を向けているのかも知れないと思うこともある。
……それでも……ジェームスは辛いときには何時もウィルの側にいて励ましてくれる。
彼の優しさがほんの一瞬で帰らぬ存在になってしまうと思うと――――彼は考えることを止めた。
ジェームスはきっと大丈夫だ。誰だってそう思うことしかできないのだから。

[予測射程距離まであと1500]

少しずつ速度が上がり、この駆動が一つの節目に至ろうとしている。
――音速の壁――。
強烈な空気の抵抗を突き抜け、アーマード・コアは音さえも越えようとしているのだ。世界に満たされた透明な存在が速度を上げるごとに粘度を増し、金属の五体にまとわりつく。それに伴い慣性のGが掛かり血流が逆転して視界が薄れそうになったところで、負荷から来る内蔵の苦しみで目を覚ますのだ。
それぞれがそれぞれの配置に付き、今迫ろうとしている全てに対処しようと思っていた。
外部の装甲板が小刻みに震えが、不知火の悲痛な嘆きにも聞き取れた。内部熱量が高くなるにつれて、不凍液の循環圧力が上昇する。機械の身体と内臓のうねりがより強く、より危うくなった。
『全員準備は出来たな?コースの基本は中央回廊だということを忘れるな。中央回廊から離れれば離れるほど生還は困難になると思え……A-5リフトに着き次第そこで待機する……以上、通信はここまでだ』

指示を出し、無線を切ったカワサキは溜め息を付いた。彼は理解していた、一番前を行く陽炎は囮であると言うことを。ラズーヒンの判断は間違ってはいない。ジェネレーターの効率がよく、重量が軽い空中戦が得意なACで敵陣を翻弄させ離脱する。それは不知火でもなく、まして最も全体性能が劣るこの狭霧でもない。機動力が一番ある陽炎こそを前に出すことが的確な判断である事は彼も分かっていた。
だが……カワサキはあの弟の死からジェームスは変わったと言うことを改めて実感していた。彼の操縦技術が落ちたわけではない。陽炎にはおおよそ相応しくないはずのバズーカーをも、異様な程の執念で見事に使いこなして、通常以上の戦果を上げている事は確かだ。このバズーカーが弾数の多くて、威力の高い新型だったら、と思うぐらいなのだ(最も彼の場合はその形見のバズーカーだからこその結果であるとは分かっているのだが)。
しかし、今の彼には何かが足りないのだ。昔戦っていた頃に持ち合わせていた兵士として、と言うより人間としての最後の欠片を、彼は弟と共に無くしてしまった様に思われる。
では一体その欠片とは何なのか?―――それは確かには分からない。
だが確かに、今のジェームスには何かが足りないとカワサキは感じている。それと同じ物を足りないと感じる人間がもう一人身近にいる。

ウィル・フィーゲルである。

奴は、小僧は時たまこの世界の全てを忘れ去って、どこかに行ってしまうのだ。目覚めたヤツの顔は忘れがたい苦痛と倦怠に満ちている。今の全てを忘れ、意識の底へと潜り、ヤツは何を見いだしているのだ?
あの虚ろな瞳が、訳有りな素顔の全てが苛々する。それは言いしれぬ過去という物か……。
そうでなければストラグルになんて入るはずもないな。
だが……過去とは克服するものだ。過去に縛られていては前に進むことなど出来ない。年を取り、目的もないままに朝日を迎え、無気力感と共に昼を費やし、過去を思い出して涙に暮れて月を眺める――これは特にスビィトロガイノフの爺さんが良い例だ。
ジェームスと小僧、この二人からは独特の『匂い』を俺は感じるのだ。黴のように鼻につくのに常習性があるような匂い。

――この匂いを持つ者はいつか、遅かれ早かれ――――いや、よしておこう……くだらん事だ……。
未熟な小僧はともかく、ジェームスは死なない。あの地獄を、ホワイトランドの三ヶ月を俺とあいつは過ごしたんだ。ジェームスに限ってそんなことはあるはずはないのだ。
『……ジェ−ムス、お前を頼りにしている………頼んだぞ』
『分かっている。囮には陽炎がもってこいだ』

[あと500、音速の壁まで7。気を付けてください]

その後、カワサキはジェームスに何も話しかけなかった。必ず生きてまた会う、二人はそんなことを確認しなくても分かり切っているように感じた。互いに互いがもたれ合い生き延びてきた、ウィルは戦友と呼ぶに相応しい二人を羨ましいと感じた。前方のモニターに配備された砲台が映し出され、不知火の操縦桿がじっとりと湿っていた。体に急激な圧力がかかり、空気抵抗が最高潮に達し、音が高く高く突き上がり――

そして……何かが、何かが変わった気がした。

体を縛っていたはずの苦痛を一瞬忘れ、彼は感覚を研ぎ澄ませる――サイレンが聞こえない――けたたましく鳴っていたはずのサイレンがふっと途切れてしまっていた。
振動だけが伝わる異様な感覚。モニター越しの映像だというのに、視界の中心から放射状に黒い線が流れ出ている様に見え、ビルの光が繋がり合って突き昇る縞であるかのように思われた。感覚の一つを支配していた聴覚が消え失せた現在時速は342q、マッハ1に到達。これが音速の壁、アーマードコアでは滅多に経験できない現象である。不知火の体が空気の層を突き抜け、音速を突破し、世界から音が消え去るその時であった。

[砲台の射程距離に到達!!]

感慨に耽る間もなく、最大望遠の砲台が一斉に不気味に閉ざしていた口を開き、音のない世界で鈍重な体をのけぞらせて、焔を吹き上げる。
巨大な剛球が惑星にも勝る迫力で巨大化し、ACを包み込もうとしているのだ!!
『今だ、全員散開!!』
――不知火の進路は左!!グリーンドルフィン・ストリートへ到達前に直行する!!

ドォォッン!!

一斉に砲台が光を放ち、敵勢力がいた前方が煙で防がれた。音は聞こえない、だが感じるのだ、巨大な空気の震えがビルを共鳴させ、音叉のように中央都市を唸らせているのを。グレネード弾に向かっていたアーマード・コア達は後方の無人機を突き放し、三色の風となって別れた支道を各々の方向へと流れ込む。それは即ち、狭霧は右へ、不知火は左へである。踵に内蔵されたローラー・ブレードがアスファルトを削り取り、火の棘を突き立て、切り裂かれたソニック・ウェーブが産業ビルの全面に張られた鏡ガラスを一撫していた。その揺さぶりはまるで巨大な弾丸に拮抗するかのようだった。
狭霧と不知火が分かれ道に入り込んだ後、右手に巨大な銃を持ったただ一機の藍色のACが留まり、背中に火を噴き上げて緩やかに道路から脚を離して、複雑に混じり合う乳色の光と物質のキャンパスに溶け込んだ。彼方からの不可逆な軌跡をたどる大口径弾は、13ストリートを直進して追跡していたガードメカの塊に衝突する。火力がアスファルトをひっくり返し、建造物の土台を削ぎ取り周囲の全てを焼き尽くしながら、皮肉にもその全てを弾き飛ばしたのだった。







どうやら作戦は上手くいったようだった。カワサキさんとジェームスさんは大丈夫だったろうか?
――その心配はない。一番考えなければならないことは自分のことなのだから……いつだって。
グリーンドルフィン・ストリート。アイザックシティ中央都市の居住者の生活品を扱っている商店歓楽街。簡素な道並みに、緋色や緑の色が疎らに流れているのを感じる。最も今の僕には街のショウ・ウィンドウや歩行者用の標識、店の看板には到底見えるはずもなく、産業ビルの規則的な光芒が一気に混ざり合うカオスへと変化したのに過ぎなかった。現行速度は音速を超え、ジェネレーターレベルは4に到達。
僕は一人になった。
一人で戦うということはこれが初めてだと思う。三年間戦って初めての個人行動、三年たってもまだ未熟と言われている。それ程までにACの扱いとは難しいのである。まず一般の人間では歩行の揺れで頭をやられ、方向を変えながら全身に掛かるブースターの負荷で卒倒する。幼子が乗れば肋骨が折れて肺を押し潰すことだってあるのだ。その為にACに乗るには余程の訓練を積まなければならないか、又はレイヴンとしてACに乗れるほどの天性がなければならない。
カワサキさんのサポートが無い中でも、僕の目的は変わっていなかった。そう、この全てが任務の遂行のため、それはクロームを崩し、よりよい社会を創るという大義名分でもある。ラズーヒンさんのオペレートも自ずと少なくなる、自分の身のまわりは自分で把握しなくてはならない。レーダーから目を離さぬように注意しながら、急速な流れに追いつくように操縦レバーを握り直す。狭くて暗いコクピットの中ではその全てが現実でありながら、まるでゲームのような高揚にも浸るのだ。

鉄の巨人、アーマード・コア。これは何という兵器だろうか!

その昔、たった一人の人間の決断で世界が燃えさかる時代を経て、人類は再び古代の戦闘に逆戻りをしてしまった。即ち、銃と剣が支配する世界、白兵戦へと……己が肉体を駆使していた人類の名残というべきか、鉄の脚と腕を操る感覚は何にも増して強烈で、その全てを忘れてしまう。
これは楽しいという感情なのだろうか?快楽と呼ぶには背筋が寒くなり、もっと原始的であるような気もする……。
社会のため、復讐のためと言う矛盾する由に僕はアーマード・コアを操っているのか?
アーマード・コアにより全てを失い、さらにアーマード・コアによって失った時間を取り戻そうとしている……全く、皮肉以外の何でもない。だけれど忘れられないんだ、あの強烈な存在を…ナインボールのあの仰々しい、憎むべき姿を追い求め、それとほとんど同じ姿をした不知火に身を委ねて恋い焦がれる。
カワサキさん、ラズーヒンさん、ジェームスさん、11機械化特殊部隊の仲間達。そして白の機体、スティンガー…僕に会うために現れたという謎の男、謎の言葉……全てはACを通した数奇な出会い。
――だが――僕は感じている、戦っているときにのみ舞い戻るこのリアルを。全てが統一されて何もかもを忘れ去り、同時に全てを得るに等しい感覚……魂の事実とでもいうべきモノ……。
僕はこの不知火から離れることなど出来ない……まるでそれが僕の運命であるかのように思われた。

――不知火のレーダーに反応――無人機が先回りしていた!?

進路の脇からワサワサと光点が現れた。ACでは通れそうにない細道から不知火を見渡し、同時に高速のロケット砲弾が飛来する。相対速度ではこちらがとっくに勝っているはずなのに、あの四足の蟹たちは横路地からロケット弾を吹きかけているのだ。弾道計算がされているのか、こちらが到達する前に散発的に発射し、ロケットが格子のように絡まり合って道を塞ぐ。僕は機体の速度と軌道を若干ずらして、不知火をその格子に隙間にすり抜けさせた。計算されているとはいえ人間の感などではない、メトロノームのような波状攻撃は避けやすく、カワサキさん達とまではいわないが少しずつこの攻撃のリズムを掴めるようになっていた。
飽きることなく追跡し続ける無人機の重圧がのしかかる。いったいここにはどれ程の戦力がいるというのだろうか?確か全てで250機近かったけど、ある程度は減っているはず――とは言っても微々たるものではあるが。
人の居住区にはやはり多くの割合の戦力が割かれているようだった。本来ここは人間の操る戦力に護られているはずなのだが、無人機達はお構いなしにロケットを発射し続ける。避難勧告が出されていなかったらどうなっていたか……通りが硝煙の匂いと衝撃にざわめき、街は一瞬にして形を崩して煙と炎の戦場と化す。百貨店の時計塔が崩れて、人気俳優の巨大な広告板が砕け飛んだ。コンクリートの欠片と湿気の多い街並みに沈んだ埃が舞い上がる、破壊の業火と光の羅列が混ざり合って無音の絶望へと昇華した。
どうやらカワサキさんの予想とは若干のズレがあったように感じる、無人機には確かに戦略はないにしろマスタングの向こうにもこれ程の戦力が残されているのだから。
レーダーに多数の反応、前方から囲まれつつある……振り切らねば…。
右側のマップを見ながら、僕は中心の中央回廊から外れすぎないように注意してスティックを傾けた。不知火が踵の向きを変え、複雑に入り組んだ(と言ってもACが入れるくらいの)通路へと入り込む。強烈な機体の揺れと鼓膜が破れそうな痛みを感じたが、複雑な歓楽街の路地を縫うようにして進ませることにより、少なくともこれでロックオンされてマイクロ・ミサイルを受ける心配はない。ガードメカのいない通路を慎重に選びながら進んでいるというのに、前から前から新たな反応が現れ、敵の影はいっこうに引きそうになかった。正確には速度で勝る不知火はガードメカを追い抜いているはずなのだが………進む方向から同じ数だけのガードメカが現れている。

これは……先に戦力がいるだけではない、追い抜かれたこのガードメカ達は不知火に追いついているのだ。複雑に入り組む路地と、上空に張り巡らせたチューブ型の高速道路を活用して、不知火の先回りをしているというのか!?だとしたら……何故わざわざ正面からぶつかろうとしない!?どうして不知火の逃げ込む隙間を与えているのだ?

ロケットの横槍をくぐり抜け、左右へと蛇行していた僕の眼前に巨大なイルミネーションが浮かび上がる。一直線に続く路に大手の小売業店が並び、横たわる巨大なイルカがウィンクをしているようだった。この通りのマスコットキャラ、緑色のイルカのフォルムをしたネオン看板が横たわる大通り、正にグリーンドルフィン・ストリートとは安直な名前だと思った。
――そうだ小路を蛇行していた不知火は急に開けた通路に到達していた、と言うよりも導かれたのか。
不知火は逃げていたんじゃない、僕の知らぬ間にこの道に追い込まれていた。
………つまり……これは罠!!

『ウィル、聞こえますか!!』

突如としてコクピットの脇のスピーカーから無線が入る。ラズーヒンさんの声だった。
「ラズーヒンさん!!」
『グリーンドルフィン・ストリート本道に高エネルギー反応を確認しました――マスタングを布陣されたようです。ここの無人機達は侮れません』
『カワサキとジェームスは既に中央回廊に到達、もうすぐでA-5リフトへのゲートに到着しつつあります』
『もうACが入れる分岐路はありません。この際、一旦停止して引き返してください』
(……そんなこと言ったって……)
ガードメカで不知火を誘導して時間を稼ぎ、砲台の入れる通路におびき寄せる。全てはマスタングの機動力の無さを補うための過程だったとは……僕はまんまと貶められてしまっていた。進路前方の人間用の狭い横道から二機の無人機が現れ、その遙か向こうの前方にもう一機のメカが走行してくる。マスタングへ不知火を惹き付け、一撃で片を付けるための囮であることは目に見えていた。しかしここで不知火を停止させては大幅に生存率が下がってしまう、中央回廊を徒歩で渡りきるなど自殺行為に等しい。リミット・オーバーしたジェネレーターが回復するまでの時間を耐えきれる自信など無い。何とかして停止せずに乗り切るしかないと僕は考えた。二機の四足無人機の車高が低くなり、足を大きく開いてより平べったくなる。こちらの速度が増さっているために横の無人機がぐいぐいと迫ってきている。
(接近戦を挑むつもりか!?今ここで構っている余裕はない。速度を上げて一気に振り切る)
レバーを押し上げてブースターの噴出を強める。背面の蒼火が大きく膨れあがって背景をぶれさせた。
攻撃される前に突き抜けて、砲台を回避すればいいはずである。
しかし、その思惑は外れていたのだった。
――衝撃――無人機と一直線に並んだ途端、突如として安定していたコクピットシートが揺さぶられる。
「……これは…なっ!!?」
ズンとした重厚な揺れと共にモニターの画面が乱れる、そのモニターの両端に吹き上がる火花と関節のない無機質な脚が浮かんだ。なんということか、この二機の無人機は戦うつもりなど毛頭なかった、その全てを砲台と前の無人機に任せ、足止めするためにまさに身を削りながら不知火を挟んで、速度を遅めている。ぶつかり合った金属の摩擦が起こり、削り取られた装甲板が発火する。双方から押し込められて一気に減速し、音速状態が一瞬で解除されてギャリギャリという不知火の悲痛な叫び声が上がった。そして望遠越しに移るもう一つのガードメカ、崩れた顔の小さい方のレンズが前に飛び出しこちらを凝視して、マイクロミサイルをロックオンしている。これ程まで見事な戦い方をする無人機など見たこともない、地理条件を徹底してプログラムし、全てを連帯して判断する半導体の性能。クロームの無人機技術は定評があるが、まさかこれ程までとは思いも寄らなかった。
『砲台の射程距離に近づいています!!』
彼方に配備された砲台の射程へと近づいている。ラズーヒンさんの声が僕の中に深く響いた。
(このままではA-5リフトに到達する前にジェネレーターが限界点を突破してしまう)
――ならば――!!
前方の無人機がロックオンしたミサイルを一斉に放ち、多段ロックのミサイルが糸を引きながら迫る。同時に僕は一気にレバーを引き下げ、ブースターの噴出を遮断する。踏み込んだ脚のペダルがローラー・ブレードに強制停止の信号を送り、不知火の速度は一瞬にして激減した。コクピットシートのベルトが肋骨に食い込み、軋むような音を立てる中で、急激な変化についていけなかった両脇の無人機は、前に飛びだして互いのベクトルをぶつけ合う――そこへ間髪入れずミサイルが迫り、全弾がくっつき合ったガードメカに着弾するのを確認すると、脚と離してレバーを前へと押し出した。ブースターユニットから再び爆発的な推進炎が吹き上がり、体が引っ張られてシートに背面を強く叩きつけられる。痛みになど構っては居られない、不知火のサブ・マシンガンを起動、敵機をサイト・イン。トリガーを絞りこみ銃口が激しく輝く、余すことなく劣化ウラン弾が発射され、ミサイルをもう一度ロックオンされる前に無人機の潰れた甲殻を撃ち砕いた。
(まだ危機は去っていない。前方の砲台を何とかせねば……)
『ウィル!!もう一度言います、もう分かれ道はありません、このままでは危険です。一旦停止してください!!』
(………音声認識モード起動、オートバランス・システム一時停止、脚部のサスペンションの保護を最優先、ショック吸収ガス圧力再設定…………)
『聞こえないのですか!?停止してください!!』
不知火の速度が上がり続けて、再び音速へと舞い戻った。
果たして誰にこの速度を止めることが出来ようか?この風となった不知火の華麗なる走行を。
炎の軍神と一体になったその全てが素晴らしく、恐ろしく、圧倒的な現実感なのだ。
僕の現実は今この瞬間と、フラッシュバックの中にしかない。
その恐怖と、苦痛と、高揚の感動しか僕の中にはないのだ。
全てがおぞましい記憶と無意味な戦いで満たされている。

虚無、僕の中には虚無しかないのだろうか?

ただ無常なる物達だけが僕に答えてくれた。何もなかった前方が攻撃的な閃光に包まれる。再び砲台が砲身をのけぞり、咆吼を上げる。阿鼻叫喚とした空気のうねりが街を狂わせ、建物達が嗚咽して身を震わせている。
全てが終わるとも思える瞬間、強張っていた体中がこの時とばかりに覚醒した。
迫り来る弾丸、巻き込まれる、巻き込まれる、迫り、迫って、迫る火の玉。
高揚、狂喜、緊張、恐怖、快感、これこそが現実、真実のこの瞬間!!
「――手動モード起動!!」
あらゆる極彩色の衝動が混ざり合う中で僕は全てを混ぜ合わせる呪文にも似た言葉を叫んだ。
暗かったコクピットから単色のレーザー光が沸き上がり、僕の身体全体を包み込む。僕の手が、脚が不知火の躰と重なって一つになる。即座に地面を蹴り上げ不知火を空中へと押し上げ、体への新たなる浮遊感の訪れを感じ、僕は全てを見下ろしていた。弾け飛んだグレネードが巨大な半球を描いて緑色のイルカを焼き尽くしている、煙に包まれたグリーンドルフィン・ストリート。今少しでもタイミングがずれていたら……それを思うと笑い出したくなるような感情を抑えるのに苦労した。
――飛んでいる、僕は今飛んでいるのだ!!
高速で飛び出した不知火は放物を描きながら真っ直ぐと進んだ。そしてその進む先には巨大な産業ビルが写る。光の粒が角張った正方形へと変形し、コンクリートの圧倒的な質量感が迫り、その大きさ故に回避不可能な迫力で立ち塞がる。一度崩壊した世界の中でさえも、人間とはどうしてこれ程の城を作り上げようとするのだろうか?黒く輝く摩天楼の樹が不知火を押し潰そうとしていた。
(相対距離600、430、123……今だ!!)
レーザー光の照射される中で強く脚を蹴り上げる動作を取る、不知火の引き締まった脚が迫り来る建造物を蹴り上げ、向きを変えながらより高みへと飛び出す。壁を蹴り上げて高みへと増す不知火の姿はどれ程美しいだろう?急激な運動の流れが徐々に薄まり不知火は最高潮の高さに増す。
――そこで僕は見てしまったのだ。

「………あぁ………」

僕は思わず溜め息を付いてしまった。体を縛っていた重力が完全に無くなり、眼前には不条理な光景が押しつけられる。上下に伸びたコンクリート達がそれぞれのイルミネーションを発し、営みの光点を漏らす。眼下に広がる黄金の通路、中央回廊。あらゆる危機を乗り越え、僕は再びこの黄金の道へと帰ってきた。産業ビルの数が再び目立ち初め、規則的な粒子とネオンの光、空には乳色の木漏れ日、ブラックオパールのように輝くビルは上でも下でもない、僕の前だけに映し出される。ゆらりと揺らぐ光の海、妖狼たる摩天楼。全てが解放されて方向の概念が無くなり、体と精神が漂うだけの存在になった。
なんと不思議で心を揺らす光景か……夢よりも空想に満ち、決して普通の人間になどは味わえぬ浮遊感。
僕は一瞬にして自らの黒い香気が薄れるのを感じた。どぎつくしか写らなかった中央都市の景観が無重力という状況を得て狂おしいほどに僕を惑わす。

これ程までに、これ程までに素晴らしい景色があるだろうか!!?

全てが溶け合って混ざり合う、秩序も、混乱も、生活も、人も、物も、光と闇も………。
自然の力による雄大さとはまた別の感動、空とは違う、主張する美。
こんなにも心惹かれるのはこれは人間の創り出した世界に違いないからである。
全てが矛盾しながらも、巨大な一つの坩堝に詰め込まれ本能を刺激する。
絶望と興奮に火照った狂気が醒まされていくのを感じた。
僕の中には戦いだけじゃあない、こんなに美しいと感じる心もある。
父さんと母さんの血が僕にはまだ流れている。
人間に優しさが……愛おしめる心が……だから生きているのではないか?……だからこそ復讐の業火に焼き尽くされず、闘争本能の津波にさらわれずに済んでいるのではないか?……心の片隅で微かな灯火があるからこそ僕はここまでまともでいられたのではないか?………僕が此処にかくあるのは母さんの優しさが、父さんの言葉が在ったからではないのか?
僕は分かりかけようとしているのかも知れない。
………僕の中の全てが……そう……全てが………。

『ウィル!!』

ラズーヒンさんの言葉で僕は微睡みから目を覚ます。目の前には上空にいた無人機。V字の編隊を組んで不知火と同じ高さに位置し、下腹部の機銃を乱射する。僕を舞い戻したのは皮肉にも戦いの時雨だった、しかしその時雨では八重面縫いの鎧をうち砕くことなど出来るはずもない。リアクティヴ・アーマー、一体この鎧にどれ程命を助けられたか。あの素晴らしい光景に感銘を受け、消えかけていた憎悪の炎が沸き上がる。怒りもある、憎しみもある、しかし僕の中には惨めな哀しみが拡がっていた。
これが僕の運命、自分で決めた自分の定め――結局の所、僕は戦いから逃れられないのか!?
……せっかく忘れていたのに――どうして――どうして僕をほっといてくれないんだ!!――。
落下により背筋が寒くなる中で、不知火の左腕からレーザーブレードが発生した。やるせない怒りを込めた左腕が鋼の心と一体となり、逃れられない本能が破壊の光槌となる。僕は一気に左腕を振り下ろした。稲妻のような勢いで不知火が容赦なくレーザーブレードを振り下ろす。目の前に待空していたV字の先端の航空機が垂直に真っ二つに割れる。強力な電磁力によって収束・帯流された高熱の光子が燕の体を焼き切り、粉々にし、内部の航空燃料に着火する。コクピットの目の前に不知火色の爆艶が鮮やかに灯る、赤と黄色の彼岸花、異様で幻惑に満ちた摩天楼に灼熱の花が咲き乱れた。強烈な風に煽られ風切り羽を失った燕たちは何処へ向かう?――彼らは無情にも立ちふさがる建造物の数々に衝突して体をうち砕くしかないのだ。

『早く!!』

黒煙を突き抜けた先には黄金のアスファルトが迫る。落下し続ける不知火がいよいよ大地へと降り立とうとしている。レーザーライトが照射されるコクピットの中で足を折り曲げ、腕を前に突き出す。踵から車輪がホップアップし、僕は全てに備えた。そして足下から火花が上がり、コクピットがゆっくりと下に沈む。着地の衝撃から腱に当たるサスペンションと内部の人間を保護するため、関節の隙間から高圧のガスが吹き上がった。一気に埃が舞い上がり、僕の動きに連動した不知火が着地体勢を維持したまま慣性力によって中央回廊を滑る。しかし、突き出たコアの重みで前のめりに倒れそうになり、急いでレバーを引き上げブースターの推力で機体を立て直した。やはり手動モードは扱いが難しい、人間で言うと胸に錘をぶら下げて戦っているようなものなのだ。人間の感覚では自由自在にACを扱うのは困難なのである。
飛び続けていた機体が地に着くことで更に加速を増す。もはや背景の流れなど型を崩し、直視することが出来ない。
体中が砕けそうに痛い、現行速度451q、内部圧力臨界寸前、ジェネレーター危険度レッドゾーンに到達!
このまま一直線、一気に中央回廊を突破する。

『カワサキ、不知火が到着次第に隔壁を閉ざします。端子を接続して情報を送って下さい!!』

後方から無人機の反応、構いやしない。もはや追いつけるはずも無いのだから……。
強制停止時刻まで後、20秒………現行速度……500に到達、アーマード・コアの限界速度!!
空気がコンクリートのように固まって……体が動かない……息が出来ない……。
――ならば呼吸などしなければいいではないか!!

『――ハッキング完了。全五層の退避用シェルターロック解除』

見えてきた……進むべき道の終わりが、陽炎と狭霧が待っている。僕は行かなくてはならない。
不知火、耐えてくれ………もう少し………もう少しなんだ………。
そして……僕は黄金の道を走り尽くし、小さな暗がりへと入り込む。

『不知火の到達を確認、シャット・ダウン!!』

ガシャガシャガシャガシャガシャンッ!!

ストロボのように激しく鉄の幕が下ろされ、【A-5】と白く塗られた分厚い隔壁が疾風となった紅のACを飲み込んだのだった。








圧倒的な存在の世界を通り過ぎ、彼らの周りは再び闇と途切れぬ重音の二重奏を奏でる。機体の限界熱量を超えたアーマード・コア達の体が大きく開いて、熱気を放出する。無線と冷却作業以外の動力の供給がストップされ、その中で青年の荒い呼吸の音が添えられた。
『全員無事のようですね……』
一段落付いたところで戦士達は一息を付いた。
『ウィル、大丈夫か?』
ジェームスの声が入る。ウィルよりもジェームスの方が危険に満ちた選択に違いないのに、明らかに青年の方が分が悪そうだった。
「……はい……大丈夫です」
コクピット内の異様な熱気に包まれた中で彼は答える。ほんの前の出来事だったのに、もうそのほとんどが非現実じみていた。あれは現実だったのだろうか?どちらが本当で嘘なのか?全てが分からなくなる。戦いが終わった後の虚無感は耐え難い苦痛に満ちていた。またしてもウィルは深い自問自答へと入り込みかけていた。
『ラズーヒン……不知火のAPはどうだ?』
『良好です。装甲値の減少も1000以内に収まっています』
ラズーヒンの言葉でカワサキはフンと鼻息を付いた。どうやら彼なりに満足しているようだった。
『小僧、取りあえず良くやったと言っておこう。だが安心するのはまだ早い、本当に成すべき事はこれからだ。今回の任務はきついぞ、スターダスト街の戦いに備えろ……今度は500以内で収めてみるんだな』

……まだ僕にはまだ分からない……僕が生きている理由……戦っている意味が……でも………
彼の頭にあの中央都市の幻想に満ちた光景が浮かぶ。あの時、一瞬なりとも獣の自分を忘れかけることが出来た。それだけは……覚えておこうと思う。

考え続ける青年に珍しいカワサキの誉め言葉が聞こえるはずもなく、彼は心ならずともいつものようにカワサキを無視してしまっていた。この後、スピーカーにカワサキの怒声が響いたことは、もはや言うまでもないだろう。








〜作者から〜
やっと、やっと書き上げました。今回は少々手こずってしまいました。もう忙しくて忙しくて……勉強しなくちゃあ……。

さて、ここで皆さんにお知らせしなければならないことがあります。それは……

【小説登場キャラ募集!!】

と言うことです。
せっかくのネットを通した趣味の小説。この土俵を生かさない手はありません。せっかく読んでいただいている皆様にも楽しんでいただきたいという思いと、ぼく以外が考えたキャラによってより斬新なドラマが出来るのではないかという魂胆であります。募集するキャラクターは全部で4人。個性溢れる面々を期待しています。名前、性別、年齢、容姿、口癖、人生背景、ACの構成などを教えてください。
それでは募集する4人のキャラを述べます。

1,ムラクモミレニアム本社が雇う用心棒レイヴン(男性希望)。
これは割と自由な性格で良いと思います。構成機体も四足とかタンクとかが良いと。

2,クローム側の武装組織「イミネントストーム」の創設者にしてエースパイロット。
いわゆるライバルという奴ですね。性格は自由ですが少なくともカッコつけても滑稽じゃあない様にお願いします。機体は…一応中量二足のスパイトフルというオフィシャルな機体でやりたいと思います。武器は考えていませんのでこれも募集します。

3・4,イミネントストームのリーダーに従う戦闘員の二人、一人くらい女性でも良いかな、と思っています。
構成機体はレイヴンほど自由にはいきませんが、装備武器にかけては全くの自由です。

………と言うことです。どれをとっても重要なキャラなので、申し訳ございませんが審査は少々厳しいかと思われます。余りにも在り来たりなキャラや、主人公よりも主人公らしいキャラ、ギャグ系のキャラは使いづらいので採用されにくいと思ってください。小説の世界観を壊さない、戦う敵も人間だという前提の元にやっていきたいと思っています。最近本当に忙しくて、なかなか筆が進みませんが、だいたい五話ぐらい後に登場させるつもりです。どうか、宜しくお願いします!!

ご意見ご感想はmoyato-7@fc4.so-net.ne.jpまでお願いします。