警告:この小説は闇鴉氏のアーマードコア小説のキャラクターを使用しており、
そのキャラクターのイメージを損なう可能性があります。
それに留意して閲覧をするか否かを判断して下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ARMORED CORE EPISODE ?

ミスリーディング・クライム

 

 

「ふんふんふんふんふんふんふんふん、ふんふんふんふんふ〜ん、ふふ〜ん♪」
ある日の昼下がり、依頼主の都合でミッションを早めに終えたタオ・リンファは優雅な時間を満喫中だった。
シャワーを浴びてバスタオルを巻いたまま、寝室でたまたまやってたアニメ【傭兵戦隊ゴレイヴン】を見つつ酒をあおる。その姿は一見あまりにも無防備だが実際はもっと無防備で、、ヨシュア氏が見ればさぞ嘆き…いや、既に見慣れた物か…ともかく、恥とか風邪を引くとかそう言う言葉は既に頭から消し飛び、彼女は幸せを噛みしめていた。
「くはぁ〜、これこそレイヴンの醍醐味よねぇ〜!(違うと思うが)ミッションさえ終われば後はフリータイム!」
独り言を言いながら、くいっとグラスを傾ける。全く大層なご身分である。

コト…

その時、一階のガレージで物音がしたのが聞こえた。
しかも、音を立てないようにそろそろと歩いているのも分かる。
「…誰かしら?挨拶もせずに入ってくる奴か…ヨシュアなわけないし…まさか。」
そうだ、気配を消す、と言うことは自分の存在を知られたくない者…ヨシュアならやりかねないが今はミッションでいないし、なにより音を立てるようなヘマはしない。エリィが仮にやったとしたらもっととんでもない音を鳴らすに違いない。
と言うわけで音を立てないように引き出しを開け、愛用の拳銃を手にする。そして弾倉内の残弾の確認をして、静かに階段を降りる。

ゴトッ。

「ッ!」
今度は確実に、何かを動かしたような音が鳴る。
―まだよ、まだ距離が有りすぎる…拳銃を100%ヒットさせられる距離まで近づかないと…
1歩、そして、2歩………
柱の陰から飛び出て、拳銃を音の発生源へと突きつける。
「誰!?」



………

「にゃぁ〜お」
「ね…ネコぉ〜?」
ガクン、と膝が折れる。リンファの気配を感じているのかいないのか、迷い込んだネコはぴょんっと机の上に飛び乗る。
彼女はポリポリと頭を掻いて、反対側の手でネコの頭をそっと撫でる。その後取り敢えず場所を移すために抱こうとするが…
「あ〜あ、全く…こらこら、エリィの机の上に乗るんじゃないの。怒られるのあたしなんだから…って、こらぁぁぁぁぁぁ!!!
リンファは、その野良猫を凄い形相で怒鳴りつける。これには流石にネコも驚き、とある物をくわえたまま逃走を図る。
「待たんかこのクソ猫ぉぉぉ!そ、その写真を置いていけぇぇぇ!」
言いながら、ネコに向かって拳銃を乱射する。
―あの写真が誰かの目に触れたら外を出歩けなくなるっ!ヨシュアの馬鹿ぁ!なんであんな写真残しておくのよぉぉぉ!!!
ダンッ!ビシィ!
「にゃんっ!」
写真に6発撃ったうちのひとつの銃弾が直撃し、それに驚いてネコは写真を放し逃げ出していく。どうやら、ネコに怪我はないらしい。
「はぁー、はぁー、はぁー、はぁー…ふふふ、我ながら素晴らしい射撃センスね、丁度誰だかわからないように…」
リンファは満足顔で写真を拾い上げる。写真に写っていたはずの自分の、人に見せたくはない顔は綺麗さっぱり撃ち抜かれて無くなっている。
「いや、油断は禁物ね。念には念を押さないと…」
ダン、ダンダンッ、ダンッ!
さらに4発銃弾を撃ち込み、写っているもう片方の人物の顔、そして肝心の…行為の最中を示す物を消す。あとは適当に2発。
ネコに取られそうになったという大義名分があればヨシュアも文句は言うまい。

「はぁ〜、とんだ災難だったわ…あれ?」
さっきまでネコがいた場所に、見慣れないカードがある。
「何、コレ?」
何気無くコンピュータに通してみると、どうやらマネーカードのようだ。
「ひょっとして…3年ぐらい前にどっか行ったはずのあたしのへそくり…?どれどれ、幾ら入ってる…」
スリットにカードを通して出た数字を見て、リンファは凍り付いた。
「きょへえええ!?に、二十二万コームぅ!?ら、ら、ら、ラッキー!」

リンファは急いで2階に上がり、お気に入りの服を着込んで例のマネーカードを手に喜々として街へと繰り出した。



この時点で、彼女の頭から自分に同居人がいると言うこと…つまり、それが自分のモノでないと言う可能性があることは綺麗さっぱり消えていた。

 

 

「りんふぁちゃんただいまぁ〜!えりぃがかえってきたよぉ〜!」
「………」
エリィと対照的に、ヨシュアは無言で入ってくる。
「り〜んふぁちゃ〜ん、よしゅあくんもいるんだよぉ〜?」
し〜ん…
「………あれぇ?」
いつもはこう言えばなんだかんだ言って出てくるのに…
不審に思ったエリィは、とんとんとんっと音を立てて2階へと上がる。
「………?」
見回しても、相棒はいない。
こんな時間に家にいるときはいつも、ベッドでゴロゴロしてるはずなのに…
「よしゅあく〜ん、そのへんにりんふぁちゃんいな〜い?」
ヨシュアも、1階の隅から隅までを見回すが人の気配すらしない。
「いや、いない…買い物かな?」
「あ、そうかも〜。」
それを聞いて、チッと舌打ちしてヨシュアはエリィと入れ違いに2階へと上がる。

「………」
取り敢えずベッドに腰掛ける。
「あいつ…何処行ったんだ?書き置きでもすればいいものを…」
その思考は、甲高い叫び声によって打ち消された。
「みぎゃああああああ!」
「な、なんだぁ!?」
階段を降りるのももどかしく、途中で飛び降りたヨシュアが見た物は…
「みゃあああ!え、えりぃのかーどがなくなってるぅ〜!」
「カード?」
「まねーかーどぉ!にじゅうにまんコームもあったのにぃ!」
「に、220000コーム?」
それは冗談で済まされる金額ではない。
普通のレイヴンの依頼金は2、3万コーム。それから弾薬費や修理費を差し引けば、大体歴戦のレイヴンでも3〜5千コームは引かれるはずだ。
よって、10万単位のコームなど滅多に目にすることなど無いはずなのだが…
「ちーさいときからすこしづつすこしづつおこづかいためてきたのにぃ〜!」
彼女にとっては給料もおこづかいらしい。
おそらく、子供の頃はともかくムラクモにいた頃の給金、そしてリンファとのレイヴン活動の分け前、すべてをこのカードに蓄えてきたのであろう。
「ま、まぁ落ち着けエリィ」
「これが落ち着いていられると思うの!?」
ダンッ、と机を叩く。どうやら、いつの間にか人格変更されているらしい。
「間違いないわ、4時間32分前にあのカードをこの端末に通した記録があるわ…」
「何…まさか、泥棒か!?」
「ええ、多分ね…」
ヨシュアの顔にも真剣さが出てくる。
「わかった、まずはリンファと連絡を取ろう。あいつがどこかへ片づけた、と言うのも有り得るからな…」
「そうであることを願うわ…心から。」

そして、運命の歯車は廻り始める…おそらく、誰にも望まれない方向に。

 

 

ピッ。
「おい、リンファ。」
ヨシュアの呼びかけに反応して、電話の向こうからはとんでもなく陽気な声が聞こえてきた。
『あ〜ヨシュア〜?あはははははははははは、こちらは無敵のレイヴンリンファちゃんで〜っす、何かご用かなぁ?あはははははは…』
「この酔っぱらいが…昼間っから酒かっくらってなにやってやがるんだ…」
『だぁってぇ、きょうはとぉってもいいことがあったんだもぉ〜ん。たまにはいいでしょぉ〜?一緒に飲むぅ〜?』
それをスピーカーから聞いていたエリィが遂に切れる。
「このアホリンファぁぁぁ!そんなことしてる場合じゃないの!リンファ!私のマネーカード知らない!?机の上にあったんだけど!」

…………………………

『え”?』

「おい、どういうことだ?リンファ、その「え”」はなんだ?おい、聞こえてるのか、返事をしろ!おいリンファ!」

リンファには、既に何も聞こえなくなっていた。
たった今、勘定を済ませたばかりのマネーカードがレジのスリットから出てくる。
表示された文字…[残高:250C]の文字を見て…リンファは、己の退路が断たれたことを思い知った。

 

「…切れた。」
「…うええ、りんふぁちゃ〜ん…こんなたいへんなときにぃ〜…」
ヨシュアは、元に戻ったエリィを適当に慰めると二階へと上がっていった。
そして、またベッドに腰掛ける。そこで、ふと思った。

「ひょっとして、あいつ…いや、まさかな…」

独り言を呟くと、そのままベッドに寝転び、リモコンでテレビを付ける。勝手知ったる彼女の家、である。

 

 

 

 

「まずい…非常にまずいことになったわ…」
疲れのためか眠ってしまった2人の目を盗んで、服とペンユウを持ち出してきたのはいいものの…
「どうしよう…エリィに殺される…な、なんとか、気取られぬまま二十二万コーム工面しないと!」
慌ててペンユウのブースターを吹かし、自宅近辺から逃げるように消えた。
「なんとか、なんとかしなきゃ…そうだ!あいつらなら!」

ガレージに、きゅっきゅっと言う音が鳴り響く。その音の発信源は、愛機にワックスがけをしているレイヴン、ミラージュである。
「あのぉ〜…」
「なんだね、カンバービッチ君」
「何で僕が手伝わなきゃいけないんでしょうか…」
「つべこべ言わずに作業を進めたまえ、カンバービッチ君」
「…はぁ。」
―そうだったな…この人には何を言っても無駄だったんだ…
もはや諦めの境地に至った彼は、埃を飛ばすふりをして盛大に溜息をつきながらきゅっきゅっと彼の物ではない機体の脚部を磨く。
彼の機体スティンクはここ数日全く使用していないために、埃が堆積して色が変わっている。
それと同じように、彼の頭にも白髪が目立ってきたように感じる…その姿は、「疲弊」という言葉をこねて固めて服を着せるとこうなるんだなぁ、という感想に尽きる。そんな彼に、一人の人物が近寄った。
「お困りのようね?」
「え?」
振り向いたと同時に、彼の意識は刈り取られた。
―何があったんだろう…わからない…あれはなんだろう…パンツ…白…ああ、くらったのはハイキックか…
バタン。
「お〜い?カンバービッチ君、なんかあったのかね?」
頭部のセンサー部分を磨いていたミラージュがリフトからひょいっと顔を出す。その瞬間、何者かの踵落としが決まりミラージュは喉を手すりで圧迫し、呼吸困難に陥り気絶した。

…………

「おっと、寝てしまったか。いかんいかん、いつタオ・リンファが来てもいいように見栄えをよくしておかねばなぁ、カンバービッチ君?」
「………」
「彼も眠ってしまったのかな?まあいい、少しは休憩も必要だろう。はっはっは!」
高らかに笑い、センサーの部分を丹念に磨き上げる。この後は腕部、コア、武器…彼の作業はまだ続きそうである。
そう、彼は気付かなかった。彼の相棒が目を覚ますまで…サンドストーカーの右腕にあったはずのWG-1-KARASAWAが無くなっていることに…

 

「よし、これで70000は堅いわね…」
リンファは、満足げに呟くと盗んできたカラサワの入ったコンテナを手に荒野を疾走していた。
―しっかし、どうしようかなぁ…日も暮れちゃった(地下都市のライトが消えた)し、これ以上金のアテもないし…
「リスクは大きいけど、あそこか…」

 

 

ビーッ、ビーッ、ビーッ!
「警報装置!?」
「こっちだ!捕まえろ!」
「流石ね…セキュリティは解除したと思ったのに!」
バッ、とリフトから飛び降り、今度はACに急いで搭乗する。ベルトも締めずにペダルを踏みつけ、全開ブーストダッシュで屋敷のガレージから逃げ出した。ペンユウの手には、大型コンテナがあったが…中身は、スカスカであった。

「どうした、何事だ?」
「ハッ、旦那様。どうやらガレージに泥棒が入った模様で、旦那様のACに何かしていたらしいのです。何をしていたかまではわかりませんので、
現在調査を続けておりますが…」
そこまで聞いて、セルバンテスはこめかみを押さえた。
「なぜ、もっとわかりやすいところに気付かんのだ…?」
「は?」

ドン=キホーテの肩に装備されていたはずのミサイルが、無くなっていた…
追加弾倉も外そうと思ったのか工具でいじった跡もあり、この事件はただのパーツ泥棒ということで片づけられた。まぁ、事実だが…

 

「まずったわね…」
―セルバンテスのACからPPkを奪い取れればかなりの額になったはずなのに…失敗したわね…
もはやそれが犯罪行為だと言うことすら頭にない、金を集めることだけを考えている今の彼女こそ「レイヴン」と言えるだろう。それが名誉となるかどうかはまた別として。
「え〜と、今までの収穫はカラサワ…75000、マルチミサイル…62000ってとこかしら。」
コンテナを開けて品物を勘定する。しかし、全然足りない。
「くぅ〜、それでも大体137000…あと8万3千ぐらい足りないわね…なんか金の足しになるものは…」
周囲をうろつくが、小石に蹴躓くだけで大したアイディアは出ない。
「セルバンテスなんか危なかったもんねぇ…流石にアシがつくのはヤバイか…」



「そうだぁっ!」
リンファは、ペンユウに乗り込むと自宅へ向かって猛ダッシュを始めた。

 

「ん…?」
ヨシュアは、妙な物音に気付いて目を覚ました。
「…眠っちまったか。」
言いながら、戸棚から拳銃を取り出して残弾数の確認をする。リンファと行動パターンがそっくりであるのはご愛敬。
無音のまま階段を降りて、音の発生源へと向かう。
「ガレージか…」
そのまま、人影に向かって銃を突きつける。
「何者だ!…って、リンファ!?」
「げっ!」
リンファとおぼしき人物は、走り出してペンユウに乗り込むとコンテナを掴んで逃げ出した。
「待てッ!おい、リンファ!」
ヨシュアが拳銃を持ったままペンユウを見送り、ふと振り向くとそこには…机に突っ伏したまま、ペンユウのブースターが起こした爆音にすら気付かない女科学者が涎を垂らして眠っていた…

 

「危なかったけど、うまくいったぁ!」
リンファは満面の笑顔で、昔使っていたレーザー・キャノンを再びペンユウの肩に装着する。
既にエリィが分解して、中身が全く無い外装ラッチだけになっていたがそんなことは関係ない。武器として使うためではないのである。
そして、盗んできたマルチミサイルとカラサワも装着する。まだ売らない。利用価値がまだあるからだ。
「くくく、これなら絶対あたしのせいにはならない!となると…あいつなんかいいかも!よっしゃあ!待ってなさいよ!」
自分のアイディアが余程気に入ったのか、多少ハイになりながらリンファはペンユウを加速させる。
そう、次の獲物は少々遠い場所にいるのだ…

 

「おにぃちゃ〜ん、これ!」
「なんだ、ジーナ?」
「うん、夜遅くまでACの整備してるから、大変だなと思って…お夜食。」
「ありがとう…ジーナ…(隠れて号泣)」
そんなほのぼのムードは一瞬にしてブチ壊しになった。ガレージのシャッターを突き破って、1機のACが突入してきたのである。
「あの機体は…リン、いや、シーファのプルスだな!

…そう、ペンユウにカラサワ・マルチミサイル・レーザーキャノン(外装だけだけど)を装着すれば…プルスにしか見えないのである。オプションパーツなどに違いはあるが、それは表には出ないためにわからないだろう。おまけに…パイロットも同じ様なもんである。
リンファは、来る途中に練習し続けた例のセリフを叫びだした。
「ひぃやははははははははッ!気安く呼ぶんじゃあねぇよこのクソダボがァァァァァァ!!!」
言いながら、カラサワの照準をロレンスのアビスに向け、トリガーを引く。光線がアビスの腕を焼き切り、盛大な音をたててライフルが床に落ちる。
「貴様ッ!」
「くヒヒヒィ、次はそっちに当てようかァァァ!?」
ピッ、と言う音が鳴り、レーザーキャノンが構えられる。当然内部機構は空っぽで、満足に出来るアクションはこの構え動作だけだったりする。まるでどこぞのアクションフィギュアのようではあるが、リンファは気にすまいとして目をモニタに戻した。
「貴様、何が目的だ!」
…それが一番の問題である。用件なんて元々無いのだ。
リンファの仕事は、あとはなんとかしてあのライフルを持って逃げる口実を作るだけである。
「お前に言う義務があるとでも思ってんのかァァァァ!?ひゃははははははははははははアッ!おい、そこの女!」
「え、わたしですかぁ!?」
「お前以外に誰がいるってんだァァァ!?」
「は、はいっ!すいませんっ!で、なんでしょうか!?」
「…えっと、3回まわってワンと鳴け!」
「は、はいっ!」

くるっ、くるっ、くるっ。

「わん☆」

…………………………………

「ひゃあっはっはっはっはっはっはははははははははァァァァァァァァァ!!!愉快愉快、じゃあなァァァァァ!!!」
どさくさに紛れてライフルを失敬し、逃げ去るプルスもどき。その背中には哀愁が漂っていた。
「なんだったんだろう…」
呆然と立ち尽くしていたジーナがくるりと振り返ると、さっきの「わん☆」を見たロレンスが悶えて転がっていた。

リンファも、涙を流してプルスもどきを疾走させていた。もちろん、嬉しさ半分情けなさ半分で。
「何やってたんだろう、あたし…あはは、もういいや…これで私は無実!あとはパーツを売っ払って何気なくエリィにマネーカードを返せばいいだけなのよぉっ!あはははははははははははははァァァァァァ!」
まだ、シーファの物真似が抜けきってないらしい。

 

 

リンファは、その後念のためアンバークラウンに向かい、パーツを売却した。万が一バレた場合、本拠地であるアイザックシティ近辺のショップでは物的証拠をすぐに押さえられてしまうからだ。
「カラサワが75000、ミサイルが62250、ライフルが71000…合計208250コームか…ちょっと足りないわね…」
ショップから出てきたリンファは、不足分をどうやって埋めるかで悩んでいた。
「ペンユウの元パーツ売るか…いや、身銭を切るのは出来るだけ避けたいから(鬼畜)…」
そこで、リンファはポンと手を叩いた。
「あ、なんか依頼受ければいいんだ!」

 

 

「ふうっ。」
リンファは、張りつめた空気が解かれるのを感じた。と言っても、二流企業の重役を三流テロリストから護衛するだけのつまらない依頼であったが。
『ご苦労だった、レイヴン。我々は先に離脱する。報酬は既に振り込んでおいたからな。』
「まいどありぃ」

そして、装甲車が戦闘エリアから離脱する。
アンバークラウンに戻ったリンファは急いでマネーカードを端末に通すと、そこには[220000C]の文字が。
「いやったぁ!丁度二十二万コーム!」
パチィン、と指を鳴らし、意気揚々とペンユウをアイザックシティに向けて走らせる。
「あたしは無罪!あたしは自由!あぁ楽しいなぁ〜♪」
ピッ。
[敵機確認]
「チッ、いいところで水を差すわねぇ…ま、いいわ。喧嘩売るなら買ってあげるわ!」
『ほう、それは楽しみだ…』
「へ…?」
[敵AC、識別信号確認。
AC・サンドストーカー 一機
AC・スティンク     一機
AC・ドン=キホーテ  一機
AC・アビス       一機
AC・プルス       一機
AC・ワームウッド∞  一機
AC・ホロコースト    一機]

「………あの、前言を撤回しても宜しいでしょうか?」
『ダメ』



「タオ・リンファぁ!ほんのちょびっとだけ見損なったぞ、カラサワ分の恨みを晴らしてくれる!」
「リンファさん大人しくやられて下さいね…僕も予定があるからいつまでもミラージュさんに付き合ってるわけには…」
「タオ・リンファ、住居不法侵入及び窃盗で訴え…と言いたいところだが制裁を加えるだけということにしてやろう。」
「なんかおかしいと思ったら貴様だったのか…いい物を見せてもらったがしかし、ライフルの礼をさせてもらおう…」
「このクソ姉がァァァァァ!あたしの名を語るとはいい度胸してんじゃねぇかこのクソダボがァァァァァッ!!!!!」
「リンファ、お前には常識が少しばかり足りないようだな…お仕置きだ。」
「りんふぁちゃんのばかあ!!!えりぃのおかねかえしてよう、うえええええ〜〜〜〜ん!!!」

 

 

 

 

 

 

「何やってんだろ、あたし…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

収支報告

収入金額

成功報酬 0

特別加算 0

支出金額

弾薬清算 −16800
(垂直ミサイル)

機体修理 −33748
(ペンユウ全壊)

特別減算 −428000
(酒代及び盗んだパーツの返済額)

計 −478548

所持金額 −478298

THE END