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2007年05月04日

 ■ 銀河ヒッチハイクガイド第5巻「ほとんど無害」感想

 例によって例のごとく、ネタバレ注意であります。

 ひどい。こんなのってあるか?

 理不尽ではあるが理不尽でしかなかったヴォゴン人は、『ガイド』を手に入れて最凶最悪の敵となる。
 その圧倒的理不尽の前では全てが無に帰すのだ。フェンチャーチとの恋も。過去に囚われながら必死に前進しようとしていたトリリアンとトリシアも。『ガイド』をこの世から消し去ろうと立ち上がったフォードも。困った子ではあったが、確かに自分の娘でもあった、ランダムも。
 アーサー・デント自身も。
 しかもその破局が、彼らと同じく「居場所を見失った哀れな宇宙人」の手によって行われる。こんなひどいことってあるか。

 確かに「銀河ヒッチハイクガイド」シリーズは、シニカルな作品だった。構成成分の90%は社会に対する皮肉だと言っても過言ではない。
 でもこれは皮肉なんかじゃない。ただの「絶望」だ。

 でもSF的には、わくわくしてくる展開ではある。宇宙そのものを造り替えてしまいかねない『ガイド』(ガイド・マーク2とでも呼ぼうかな)。手にする者に「幸運」を与え、なんでも上手くいくという気にさせておいて、その裏で自分自身の目的のため利用し使い捨てる『ガイド』。その紳士的な言動が返って不気味だし、なにより真の目的が見えないところが不気味。
 こうしてみると『ガイド』は、指輪物語における「一つの指輪」みたいなもんで、SFストーリーの中核となる「呪われたアイテム」として実に上手くできている。
 ていうか、「全ての並行宇宙に同時に存在している」とか、どこのストームブリンガーだよ、と思わなくもない。

 まさか、ヴォゴン人が『ガイド』の真の持ち主、なんてことはないだろう。『ガイド』は次々と持ち主を変え、そのたびに好き勝手に宇宙を造り替える。このまま『ガイド』を放置すれば、既知の宇宙は完全に破壊され、そのあとには「なんだか分からないぐちゃぐちゃ」が残るだけだ。
 止めなければならない。『ガイド』を。

 というわけで……魅力的な「展開」だと思います。
 実は昨日(今日か……)の深夜2時頃、チャットを終えて、寝る前にちょっと読み進めてみよーかなー、となんとなくページを開いたら、ちょうど話が良いところに入ってしまって、気が付いたら4時半でした。というくらい、話に引き込まれてしまったわけです。面白くなかったわけがない。おかげで床についた時には空が白かったよ。『ガイド』め。(やつあたり)

 だからつまり、あそこで終わりなわけがない!! あれは、CM明けか翌週持ち越しで大逆転しますよ、っていう終わり方だ! 主人公たちが大ピンチに陥って、そのまま死んで、絶望のバッドエンドなんて話があるか!
 少なくともそれが「ヒッチハイクガイド」なわけあるか!

 といっても、作者はなくなってしまったわけですが……
 話を要約しますと、これの続き、最終章を書きたくなってる俺がいましたとさ。

投稿者 darkcrow : 2007年05月04日 12:47

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